日中対照言語学会会報(No.16)
2011年10月31日(月)発行
会報担当:高橋弥守彦 豊嶋裕子
目次
- 日中対照言語学会拡大常務理事会審議結果
- 2011年度冬季大会(大阪産業大学梅田サテライトキャンパス)
- 10月定例月例会報告
- 事務局だより
1.日中対照言語学会拡大常務理事会審議結果
とき:2011年10月15日(土)午後3時~5時
ところ:大東文化会館ホール脇会議室
出席者:高橋弥守彦、豊嶋裕子、王学群、続三義、安本真弓、椿正美、橋本幸枝
(1)2011年度冬季大会について
12月25日(日) 大阪産業大学梅田サテライトキャンパスで開催予定(最終決定は関西地区の常務理事と相談する)
講演:池田哲郎先生
研究発表:高橋弥守彦、続三義、王学群、楊蕾、藤田昌志、林春、張玲玲(所属・敬称略)の7名の予定。
当日の段取りを確認した。(受付、マイク、時間係のアルバイトを計4名お願いする、飲み物を準備する、講演料を御支払いする等。)プログラムについて検討。(最終決定はプログラムを御参照下さい。)各発表の司会者について原案を決めたが、関西の先生の御意見を伺い最終決定する。冬季大会(12月18日・日曜日)の時間帯:午前は9時~12時半、午後は1時半~5時まで。5時から、拡大常務理事会を開催する。
(2)ヴォイス特集号について
15編前後になる予定。既に受け取った原稿は13編。原稿が届いていない投稿予定者には催促し、11月末を締め切りとする。講演者以外の原稿は査読を行う。来年7月に出版の予定。
(3)『日中言語対照研究論叢』第14号について
現在19編が提出されている。投稿規定の分量を超過している原稿が3編あったが、規定に曖昧さがあり、38字×30行で18枚以内なのか、文字カウント(空白行など余白がカウントされない)で2万字以内なのか、本文以外も字数に含めるか否かなど、複数の解釈ができる可能性があるので、即失格とするよりは適切な分量まで減らして再提出するよう指示した方が良いと出席者の意見が一致した。(査読委員長と相談の上、最終決定する。)なお、原稿の書式と分量の制限については、早急に投稿規定を曖昧さのない分かり易い記述に直す必要がある。修正案を12月の常務理事会で諮る予定。
これから査読作業に入る。査読委員は、会員以外の先生にもお願いしている。(謝礼は無し。学会誌を1冊差し上げる。)
(4)中国支部について
支部長を彭広陸先生に、副支部長を朴貞姫先生にお願いする。(すでに連絡済)会費は、以前検討した通り、一般200元、院生100元とし、私費払いに限る。会費などの取り扱いはさらに検討する必要あり。学会誌は一括して、船便で朴貞姫先生に送る。その後、朴貞姫先生から各会員に送る。
(5)その他
☆学会誌買い取りの申し出:本学会の学会誌『日中言語対照研究論集』の製作・出版をお願いしている白帝社より、本学会誌は書店からの問い合わせが結構多いので、学会誌を買い取りたい旨の連絡があった。出席者皆の意見が一致し、喜んでお願いすることにした。従って本学会では1~10号までは5冊、11~12号は10冊、13号は当面残部をそのまま手元に保存し、そのほかは買い取りを依頼することにした。
学会の会員数も180名位になったので、次号より50冊増やして250冊作成を依頼する可能性が高い。
☆ホームページの更新:次号の会報、冬季大会のプログラム等、内容が決まり次第ホームページにも掲載する予定。
以上。(文責:豊嶋裕子)
2.2011年度冬季大会(大阪産業大学梅田サテライトキャンパス)
2011年度冬季大会は12月18日(日)に大阪産業大学梅田サテライトキャンパス(関西地区)で開催されます。会員の皆様にお送りいたしました当日のプログラムは以下のとおりです。お誘いあわせのうえ、ご出席ください。
日中対照言語学会
第26回大会 (2011年度冬季大会)のご案内
本学会では、下記の要領で2011年度冬期大会を開催いたします。会員の皆さま
には、お誘い合わせのうえ奮ってご参加下さい。また、会員以外の方の参加も歓迎い
たします。
記
日 時:2011年12月18日(日)午前9時20分より午後4時40分まで
会 場:大阪産業大学梅田サテライト(JR大阪駅南口下車、阪神百貨店右の通りを
直進、徒歩5分、大阪駅前第三ビル19階。大阪市北区梅田1-1-3。
電話 06-6442-5522)
参加費:1000円(会員、非会員共通)
プ ロ グ ラ ム
受付 9:00-
総合司会 竹島毅(大東文化大学)
開会の辞 高橋弥守彦(大東文化大学) 9:20- 9:30
研究発表1.中国語における人称代名詞と指示詞の共起特徴をめぐって 9:30-10:00
―【人称代名詞+“这/那”+量詞+名詞】構文とその日本語訳を中心に―
楊蕾(京都外大)
研究発表2.中国語母語話者の副詞的修飾成分の誤用について 10:00-10:30
―「~φ型」と「~に型」の誤用を中心に― 林春(関西学院大学院生)
以上司会 張黎(大阪産業大学)
休憩(10分) 10:30-10:40
研究発表3. サ変動詞と対応する中国語の品詞性 10:40-11:10
熊薇(神戸大学院生)
研究発表4. 「餅」と“饼”――日中対照 11:10-11:40
続三義(東洋大学) 以上司会 彭飛(京都外国語大学)
昼休み(60分 昼食は各自でお取り下さい。ビルの階下に食堂街あり)11:40-12:40
研究発表5. 言語的修復行動の日中対照研究 12:40-13:10
−−自己開始・自己修復を中心に 張玲玲(北海道大学院生)
研究発表6. 名詞述語文の属性と時間性―日中対照の観点から― 13:10-13:40
王学群(東洋大学) 以上司会 豊嶋裕子(東海大学)
講演 日中を含むアジア言語対照のゆくえ 13:40-14:40
池田哲郎(京都産業大学) 司会 余維 (関西外国語大学)
休憩(20分) 14:40-15:00
研究発表7. 日中受身文の対照研究―リアリティの観点から― 15:00-15:30
楊彩虹(立命館大学)
研究発表8. 受身表現について―日本語との対照から見た考察― 15:30-16:00
藤田昌志(三重大学)
研究発表9. 日中両言語の受身表現を用いる言語環境 16:00-16:30
高橋弥守彦(大東文化大学) 以上司会 于康 (関西学院大学)
閉会の辞 余維(関西外国語大学) 16:30-16:40
※入会申し込み、学会開催当日に学会費の納入も受け付けます。(年会費:社会人4000
円、院生2000円)
3.10月定例月例会報告
日中対照言語学会10月定例月例会(10月15日18:00~20:00)は、大東文化会館K401で開催された。研究発表者は2名、石井宏明(東海大学非常勤講師)、テーマは「昔話を使った発話訓練に関する報告」、高橋弥守彦(大東文化大学)テーマは「中日対照関係から見る中国語の受身表現について」、司会は豊嶋裕子(東海大学)が担当した。持ち時間各1時間、発表時間は約45分、質疑応答は約15分間行われた。会場からは盛んな質問があった。
(1)昔話を使った発話訓練に関する報告(東海大学・非常勤 石井宏明)
中国語の基本的な文法と単語は学んでいるが、中国語での発話がなかなかできない学生を対象に報告者は発話訓練を実施した。
学生に発話させることを訓練の第一目標とし、発話で使われた文法の正確な知識を定着させることを第二目標とした。発話の背景として場面構成が複雑でなく、基本的な単語が使われ、「文芸作品」のように表現の細部までが固定されてなく、あらすじに肉付けする、つまりは表現に「ゆれ」があるとされる昔話を使うことにより、学生が基本的な単語で発話し、表現の「ゆれ」により、自分で考え想像したことを中国語で発話することを報告者は期待した。
この訓練について発話量の変化、使われた文法知識の定着状況を検討し、また学生の発話を観察した結果、前者の発話を受けて、後者がそれに応えると言った会話のような発話が見られたこと、会話を続けるために必要なCSのパラフレーズを発話で使っていること、「ゆれ」として学生が自ら考えたことを発話していることなどから、この方法は発話だけではなく、会話の訓練として使用できる否かを検討し報告した。
(2)中日対照関係から見る中国語の受身表現について(高橋弥守彦 大東文化大学)
周知のとおり、受身表現として、日本語には受身文があり、中国語には“被字句”・語彙上の受身表現・意味上の受身表現がある。日本語の受身文は動詞の形態として「レル」「ラレル」があり、中国語の“被字句”は“被”があるので、両者がともに受身表現であることは分かり易い。しかし、語彙上の受身表現と意味上の受身表現は受身表現としての標識がないので、受身表現であるか否かの判断が難しい。
本発表では、日本語の受身文と中国語の“被字句”を分析することにより、文意から中国語の語彙上の受身表現と意味上の受身表現を分析し、発表者は以下のような意味構造のある文を受身表現とした。
受身表現の意味構造:受事主体+特定される他からの影響のある出来事
この基準により、受身表現であるか否かを判断する。この基準によると、語彙上の受身表現と意味上の受身表現は、受身表現とそうではない文とに分かれる。
(文責 高橋弥守彦)
事務局だより
1)学会の入会は、日中対照言語学会ホームページ上で随時受け付けています。年間会費は社会人4000円、院生2000円となっています。皆さんの入会を歓迎いたします。
2)毎月の例会の開催は、郵送ではなく、メールにてご連絡させて頂いております。不明の方がいらっしゃいますので、ぜひお知らせいただきたくお願い申し上げます。また、メール変更につきましても、同様にお願い申し上げます。