日中対照言語学会会報(No.17)2012年1月27日(金)発行
会報担当:高橋弥守彦 豊嶋裕子
目次
1.日中対照言語学会拡大常務理事会審議結果とき:2011年12月18日(日)午後4時50分~5時30分 (1)2011年度冬季大会の運営について 12月18日(日)午前9時20分より午後4時50分まで,予定されていたプログラム通り成功裏に終了した。会場提供はじめ全面的にご協力下さった余維先生・張黎先生・彭飛先生に対し、理事長はじめ皆から謝意を表した。 (2)大阪大会の拡大常務理事会と懇親会について 今回は大会終了後に拡大常務理事会を行い,その後に懇親会を行ったため,常務理事以外の会員が懇親会に参加できなかった。余維先生より来年度は弁当を用意し,昼休み中に拡大常務理事会を行い,大会終了後の懇親会には希望者が自由に参加できるようにしたいとの提案があり,賛成・承認された。 (3)特集号の件(白帝社への支払い) 王学群先生より,白帝社から学会負担金を増額してほしいとの要請があった旨,報告された。現在の(10万+編集費5万円)を今回は段階的に計20万円(15万+編集費5万円)の負担とし,次回以降は計25万円(20万+編集費5万円)の負担とするよう白帝社に提案することで合意した。担当:高橋弥守彦(理事長)、豊嶋裕子(副理事長)、王学群(事務局長) (4)学会誌の発行部数の件 会員の増加に伴い,白帝社への依頼を現在の200部から以前の250部へと戻すことで合意した。 (5)大会ポスターの件 印刷物は配布せず,プログラムと同時に添付ファイルとしてメール送付することで合意した。デザインは安本会員が担当する。 (6)学会登記の件 高橋理事長より,必要書類はほぼそろっているので,早めに文科省への登記を行いたいとの説明があった。担当:高橋弥守彦(理事長)、豊嶋裕子(副理事長)、王学群(事務局長) (7)関西地区の常務理事・理事 高橋理事長より,関西地区の組織強化を図るため,常務理事・理事を増員したいとの説明があった。具体名が挙がり,推薦者が本人に意志確認をした上で,次の全国大会総会に諮ることで合意した。 (8)中国支部設立(支部長:彭広陸,副支部長:朴貞姫) 会費は一般200元,院生100元とする。中国内での事務連絡や学会誌配送等は朴貞姫会員に一任する。 (9)次回開催校と日時 高千穂大学にて,5月27日(日)に行う予定。当日施設が使用可能か安本会員に確認して頂くことにした。 (10)『日中言語対照研究論集』投稿規定・執筆要領の改訂について 投稿規定は変更なし。誤解が生じ易い執筆要領の2.「原稿は,400字原稿用紙換算で50枚以内とし,A4用紙にすべて10.5ポイント大の文字で,毎頁38字×30行の書式で提出する。題名や見出しも本文と同一の文字サイズとする。」のみに変更を加え,「原稿は,A4用紙にすべて10.5ポイントの文字で,毎頁38字×30行の書式18枚以内で提出する。題名や見出しも本文と同一の文字サイズとする。」とする案を豊嶋より提示し,合意を得た。次回の総会に諮りたい。 以上。(文責:豊嶋裕子)
2.2012年度日中対照言語学会春季大会(第27回大会)発表者募集5月27日(日)高千穂大学(東京都杉並区)で日中対照言語学会春季大会(第27回大会)が開催されます。発表希望者は3月20日までに王学群事務局長(Lwn365@yahoo.co.jp)、または高橋弥守彦(3441748402@jcom.home.ne.jp)のところまで、題名と400字前後のレジュメを添えて、お申し込みください。 3.2011年度冬季大会(大阪産業大学梅田サテライトキャンパス)2011年度冬季大会は12月18日(日)に大阪産業大学梅田サテライトキャンパス(関西地区)で下記の通り開催された。50名前後の出席があり、高いレベルの内容と活発な質疑応答があった。 プ ロ グ ラ ム 受付(9:00-) 総合司会 竹島毅(大東文化大学) 開会の辞 高橋弥守彦(大東文化大学) 9:20- 9:30 研究発表1.中国語における人称代名詞と指示詞の共起特徴をめぐって 9:30-10:00 ―【人称代名詞+“这/那”+量詞+名詞】構文とその日本語訳を中心に― 楊蕾(京都外大) 研究発表2.中国語母語話者の副詞的修飾成分の誤用について 10:00-10:30 ―「~φ型」と「~に型」の誤用を中心に― 林春(関西学院大学院生) 以上司会 張黎(大阪産業大学) 休憩(10分) 10:30-10:40 研究発表3. サ変動詞と対応する中国語の品詞性 10:40-11:10 熊薇(神戸大学院生) 研究発表4. 「餅」と“饼”――日中対照 11:10-11:40 続三義(東洋大学) 以上司会 彭飛(京都外国語大学) 昼休み(60分 昼食は各自でお取り下さい。ビルの階下に食堂街あり)11:40-12:40 研究発表5. 言語的修復行動の日中対照研究 12:40-13:10 −−自己開始・自己修復を中心に 張玲玲(北海道大学院生) 研究発表6. 名詞述語文の属性と時間性―日中対照の観点から― 13:10-13:40 王学群(東洋大学) 以上司会 豊嶋裕子(東海大学) 講演 日中を含むアジア言語対照のゆくえ 13:40-14:40 池田哲郎(京都産業大学) 司会 余維 (関西外国語大学) 休憩(20分) 14:40-15:00 研究発表7. 日中受身文の対照研究―リアリティの観点から― 15:00-15:30 楊彩虹(立命館大学) 研究発表8. 受身表現について―日本語との対照から見た考察― 15:30-16:00 藤田昌志(三重大学) 研究発表9. 日中両言語の受身表現を用いる言語環境 16:00-16:30 高橋弥守彦(大東文化大学) 以上司会 山口直人 (大東文化大学) 閉会の辞 余維(関西外国語大学) 16:30-16:40 4.2012年1月定例月例会報告日時:1月21日(土)18:00~20:00 場所:大東文化会館K-402 日中対照言語学会1月例会は中島克哉(「反語文と疑問文の曖昧さについて」)、洪安瀾(「日本語連語論から見る“在字句”の文構造」)(大東文化大学院生)の2名により研究発表が行なわれた。同大学の高橋弥守彦が司会を担当した。 1.中島克哉「反語文と疑問文の曖昧さについて」中島氏は、反語文と疑問文とが曖昧な理由を二つ挙げている。一つは、一つの文では日本人にはもちろんのこと、中国人にもどちらか判断しにくい文がある現実である。一つは、あまり感情を表面に出さない日本人は、日常生活の中で一般的にあまり反語文を使わないが、よく感情を表面に出す中国人は、反語文をよく使う傾向にある。そのため、日本語の反語文に訳すことはかなり難しいことが挙げられる。 反語文であるのか疑問文であるのかが曖昧な文を明確に区分するため、中島氏は本発表で、反語文と疑問文との違いを主に「現代中国語文法総覧」に基づき、『中国語学講読シリーズ 中国ショートショート』の言語事実を分析することにより以下のように解決した。 ⅰ.反語文は肯定型式であれば否定の意味、否定型式であれば肯定の意味であり、語気により語意が強く表現されている。疑問文は分からないところを尋ねる文である。 これに対し、会場から反語文であるのか疑問文であるのか判断しにくい典型的な例文を挙げ、反語文に対する先行研究と中島氏の定義をさらに明確にする方がよいとの指摘と、一つの文には反語の意味が70%と疑問の意味が30パーセントある文もあるという指摘があった。 2.洪安瀾「日本語連語論から見る“在字句”の文構造」洪安瀾氏は以下のような例文を挙げることにより、“在字句”の文中における位置から、“在字句”を基本形式(例1)と文頭式(例2)、動前式(例3)、動後式(例4)に分け、その特徴を説明している。 (1)他在床上。(基本形式)彼はベッドにいる。 これらは、一般には「ありかのむすびつき」として訳されるが、上掲の例文であっても、例(2)(3)(4)はいずれも[彼はベッドで横になっている]などとも訳せるが、この場合は「ありかのむすびつき」ではないとしている。上掲の文頭式(例2)、動前式(例3)、動後式(例4)は他のむすびつきに移行する場合があるとして、それぞれ具体例を挙げ、説明をしている。たとえば以下のような文である。 (5)睡在了呐喊山上的小庙里。(语料库《插队的故事》) 呐喊山の小さな廟で寝た。(語量庫『遥かなる大地』) (6)村里的一群孩子也提了小镢,追在我们的屁股后头。(语料库《插队的故事》) 村の子供たちも小さな鋤を持って、われわれの後を追ってきた。(語量庫『遥かなる大地』) また、洪安瀾氏からは“在字句”に関する中国人と日本人の学生に対するアンケート(60名)による詳細な報告があり、両国の学生の犯しやすいそれぞれの問題点を指摘し、解決の方法も挙げられていた。 この発表に対しては、会場から日本語連語論の基本形式を挙げ、中国語の派生形式が「ありかのむすびつき」から他のむすびつきにどのように移行するのかを分かり易く説明する必要があるという指摘があった。 (文責 高橋弥守彦)
事務局だより1)学会の入会は、日中対照言語学会ホームページ上で随時受け付けています。年間会費は社会人4000円、院生2000円となっています。皆さんの入会を歓迎いたします。 2)毎月の例会の開催は、郵送ではなく、メールにてご連絡させて頂いております。不明の方がいらっしゃいますので、ぜひお知らせいただきたくお願い申し上げます。また、メール変更につきましても、同様にお願い申し上げます。 |