日中対照言語学会会報(No.19)

2012年7月2日(月)発行
会報担当:高橋弥守彦  豊嶋裕子
 

目次

  1. 2012年度日中対照言語学会春季大会(第27回大会)
  2. 2012年度日中対照言語学会総会報告
  3. 日中対照言語学会拡大常務理事会審議結果
  4. 6月定例月例会報告
  5. 事務局だより                                  

1.2012年度日中対照言語学会春季大会(第27回大会)

 5月27日(日)、高千穂大学(東京都杉並区)で日中対照言語学会春季大会(第27回大会)が開催されました。本年は日中国交回復40周年にあたり、たくさんの会員の皆様のご参加をいただき、盛況なうちに大会を終了することができました。大会プログラムは以下のとおりです。

プログラム                         総合司会 山口直人(大東文化大学)
大会開催校挨拶                             9:40- 9:50
開会の辞 高橋弥守彦(日中対照言語学会理事長)           9:50-10:00
研究発表1.“在+空间词”の“在”に対応する日本語について―文頭式と
  動前式の場合― 洪安瀾(大東文化大学院生)           10:00-10:35
研究発表2.中国語アスペクト助詞“着”について           10:35-11:10
  梁霄月(北京外国語大学院生・大東文化大学院交換留学生)
                                                   以上司会 王学群(東洋大学)
研究発表3.使役文と受身文の連続性を通して日中両言語の対訳を考える
  ―日中対照研究の視点から― 劉志偉(首都大学東京)             11:20-11:55
研究発表4.中国語の訳文の誤用問題                11:55-12:30
  白愛仙(明星大学非常勤)                以上司会 豊嶋裕子(東海大学)
研究発表5.使役事象タイプと使役交替の可能性            13:30-14:05
  ―中国語の複合動詞における使役交替を通して 張楠(南山大学院生)
研究発表6.日本語と中国語における状態変化を表す形容詞文について 14:05-14:40
  李慧(筑波大学院生)                    以上司会 鈴木義明(早稲田大学)
研究発表7.判断のモダリテイから見た日中語の類型に関する一提案  15:00-15:35
  王其莉(東北大学)
研究発表8.接辞の機能:「自立化」および「複合阻止」という働き    15:35-16:10
  井川壽子(津田塾大学)                
研究発表9.“被字句”の中の「動詞+その他」について       16:10-16:45
  高橋弥守彦(大東文化大学)             以上司会 加藤晴子 (東京外国語大学)
総会 安本真弓(高千穂大学)                   16:45-17:15
閉会の辞 豊嶋裕子(東海大学)                 17:15-17:30

2.2012年度日中対照言語学会総会報告

1.会計報告(会計担当椿正美会員よりの報告)
2.拡大常務理事会(2011年12月18日[日]、2012年3月24日[土])からの報告

(1)大阪大会(2011年12月18日[日])の拡大常務理事会と懇親会について

 大阪冬季大会では、次年度以降、昼休み中に拡大常務理事会を行い,大阪大会終了後の懇親会には希望者が自由に参加できるようにしたいとの提案が余維先生(本会副理事長)よりあり承認された。

(2)特集号の件(白帝社への支払い)

 王学群先生より,白帝社から学会負担金を増額してほしいとの要請があった旨,報告された。現在の(10万+編集費5万円)を今回は段階的に計20万円(15万+編集費5万円)の負担とし,次回以降は計25万円(20万+編集費5万円)の負担とするよう白帝社に提案することで合意した。担当:高橋弥守彦(理事長)、豊嶋裕子(副理事長)、王学群(事務局長)

(3)学会誌の発行部数の件

 会員の増加に伴い,白帝社への依頼を現在の200部から以前の250部へと戻すことで合意した。

(4)大会ポスターの件

 印刷物は配布せず,プログラムと同時に添付ファイルとして大会ポスター用のメールを送付することで合意した。デザインは安本会員が担当する。

(5)学会登記の件

 高橋理事長より,必要書類はほぼそろっているので,早めに文科省への登記を行いたいとの説明があった。担当:高橋弥守彦(理事長)、豊嶋裕子(副理事長)、王学群(事務局長)

(6)中国支部設立(支部長:彭広陸,副支部長:朴貞姫)

 会費は一般200元,院生100元とする。中国内での事務連絡や学会誌配送等は朴貞姫会員に一任する。中国における会費の用途はさらに検討する。

(7)『日中言語対照研究論集』投稿規定・執筆要領の改訂について

 投稿規定は変更なし。誤解が生じ易い執筆要領の2.「原稿は,400字原稿用紙換算で50枚以内とし,A4用紙にすべて10.5ポイント大の文字で,毎頁38字×30行の書式で提出する。題名や見出しも本文と同一の文字サイズとする。」のみに変更を加え,「原稿は,A4用紙にすべて10.5ポイントの文字で,毎頁38字×30行の書式18枚以内で提出する。題名や見出しも本文と同一の文字サイズとする。」とする案を豊嶋より提示し,合意を得た。

(8)諸経費の見直し

1)学会誌の編集費は5万円から4万円。2)会計担当理事に2万円。3)査読委員長に1万円。

(9)関西地区の理事推薦

 日中対照言語学会27回大会後開催された関西地区常務理事・理事増員の件について、余維副理事長から1名(藤田昌志:三重大学)の理事推薦があり承認された。 

 以上の諸点に対し、春季大会の総会に諮り、承認を得たので、2012年度より実施する。

3.日中対照言語学会拡大常務理事会審議結果

日時:6月23日(土)16:00~17:00   場所:東洋大学甫水会館201

(1)学会誌第15号の締め切り

 学会誌第15号の締め切り2011年9月30日とする。第15号以降の「投稿規定」(送付先や送付方法、必要な送付物など)は学会誌第14号に掲載済み。

(2)日中対照言語学会第28回冬季大会について

 1)日時:12月9日(日) 2)会場:大阪産業大学梅田サテライト 3)学生アルバイト代金:日当は6500円(弁当代を含む) 4)アルバイト:受付2名、時間係1名、マイク係1名 5)お茶代:4000円(午前、午後合計金額)

(3)日中対照言語学会第28回冬季大会講演:工藤真由美(大阪大学)

(4)日中対照言語学会第28回冬季大会研究発表の募集

 2011年度冬季大会は12月9日(日)、大阪産業大学梅田サテライトで開催されます。研究発表をご希望される研究者・院生の皆様は9月30日(日)までにテーマと要旨(500字前後)を高橋弥守彦(3441748402@jcom.home. ne.jp)、王学群(ohgakubun@toyo.jp)のいずれかまでお申し込みください。

3.2012年6月定例月例会報告(司会:王学群)  

日時:6月23日(土)18:00~21:00  場所:東洋大学甫水会館201   

研究発表概要

1.孫 宇雷(大東文化大学博士課程院生)「改正や変更にまつわる日中同形語の対照研究

-「変名」“变名”「改称」“改称”「改姓」“改姓”「改名」“改名”を中心に-」                筆者実例研究から始まり、改正や変更にまつわる日中同形表現を取り上げ、「名称を改める」語義グループに属している「変名」“变名”「改称」“改称”「改姓」“改姓”「改名」“改名”を研究し、言語内の比較および言語間の対照を通じて、形態・統語・意味上の連鎖性及び相違を明らかにした。結論として、次のような内容が明らかになった。

1)“变名”についての記述はなかったが、本研究を通じ、“变名”は「名前を変える」「裏切る」「仮名」ことを意味していて、動詞、名詞としても使われていることが明らかになった。

2)品詞によって、それぞれの意味変化が見られている。日本語の場合は名詞的性格に見られているのに対し、中国語の場合は動詞的性格が強い。また、“改称”“改姓”には、辞書の記述とズレのある部分もあった。“改称”には「話の内容を変える」、“改姓”には「所有者、性質が変わる」の意味が見られたが、辞書にはなかった。さらに、“改姓”の「あることをしたらひどい恥辱であるという時に使う」使用例が見られなかった。それは、話し言葉の使用として、新聞や書き言葉語彙コーパスには現れにくいと推測できる。

3)対訳関係からみると、「変名」は“改名”に訳されると日中辞書にはあるが、実際は不適切だということがわかった。「変名」は「本名を隠して別の名で称する、また、その名」を意味しているのに対し、“改名”は「名前を改める」意味で、対応関係が見られないことが明らかである。

2.白石祐一(中央大学非常勤)「名詞性述語文と副詞―名詞性述語文の述語性は何位由来するのか?—」

 中国語の名詞性述語文が、動詞の“隐含”によって「述語性(“谓词性”)」を生じさせていること(吕叔湘1979、范开泰1990、张国宪1993、施关淦1993、范晓1998)を確認した。また“顺序义”“类别义”“量度义”“动核化”“性状化”(张谊生1996)によって「述語性」が生じるかどうか検討し、“性状义”が「述語性」を生じさせていることを述べた。さらに名詞性述語文のいくつかの下位カテゴリーと副詞との関係について初歩的な検討を加えた。

 横川先生より“隐含”と“性状化”二つの概念が互いにどのような関係を持って「述語性」を生じさせているか検討しなければならないとの御指摘を受けた。また、高橋先生、王学群先生より“隐含”などよりもっと本質的な説明原理があるのでは、との御指摘を受けた。さらに、コーパスの均質性などについて注意を求められた。

3.梁霄月(大東文化大学・北京外国語大学交換留学院生)「テイルと“正、在、正在”、“着”、“呢”」

 今回の発表テーマは、日本語継続相シテイルと中国語時間副詞“正、在、正在”、アスペクト助詞“着”、語気助詞“呢”との対応関係である。今まで、“正、在、正在”、“着”、“呢”について、それぞれ検討してきたが、今回の発表では、工藤真由美の継続相シテイルの分類に基づいて、シテイルの中国語訳、主に“正、在、正在”、“着”、“呢”を中心に対照研究を試みた。研究方法としては、中国語の新聞、日本人向けに編集された中国語の読み物、中国語原文の日本語訳小説から例文を集め、“正、在、正在”、“着”、“呢”に関して、既に立ち上げた理論を生かし、例文の説明、理由分析を行った。同時に、理論の正しさを検証した。“正、在、正在”は中国語の時間副詞であるのに、何故シテイルに対応するのか。この問題を解決するためには、動詞との関係だけにとどまらず、連語の構造において、単語の意味変化が生じるため、連語論の角度から考えるほうがより説明しやすい。“着”について、以前再分類を行ったが、今回は再分類のもとで、シテイルとの対応関係について詳しく説明した。“呢”をシテイルに訳すケースが多く見られるが、逆の例が少ない。これは日本語の曖昧さと中国語の多様化など両言語の言語的特徴を証明するものである。論文の作成中に、未解決の課題もたくさん見つかったので、今後の新しい研究成果につながればと望む。                       

事務局だより  

1)学会の入会は、日中対照言語学会ホームページ上で随時受け付けています。ただし、申し込みができない場合は王学群事務局長(Lwn365@yahoo.co.jp)、または竹島毅理事(sisi@crest.ocn.ne.jp)までご連絡をください。年間会費は社会人4000円、院生2000円となっています。皆さんの入会を歓迎いたします。

2)毎月の例会の開催は、郵送ではなく、メールにてご連絡させて頂いております。不明の方がいらっしゃいますので、ぜひお知らせいただきたくお願い申し上げます。また、メール変更につきましても、同様にお願い申し上げます。


Last-modified: 2013-12-07 (土) 12:38:09