(こちらは過去に実施した月例会報告です。→直近の学会月例会のお知らせ)

 

日中対照言語学会2017年7月例会のお知らせ

日時
2017年7月15日(土)17:00~19:00
場所
東洋大学2号館9階・経済学部会議室
ヒト
白石裕一(中央大学兼任講師)
テーマ
AN型/AA的N型名詞述語文について

要旨

 中国語の形容詞は“属性形容词”と“状态形容词”とに大きく分けられる。日本語の形容詞も「属性形容詞」と「状態形容詞」に大きく分けられる。しかし、両者の分類基準は異なる。中国語の形容詞の分類は、形式に基づいていて、日本語の形容詞の分類は意味に基づいている。その意味というのは、「時間的限定性」である。

 近年、日本語学の領域で、「叙述類型論」が議論されている。叙述を「属性叙述」と「事象叙述」に分け、それによってさまざまな言語現象を説明しようとするものである。発表者は、中国語においても、この「叙述類型論」は有効であると考えている。

 そこで、今回の発表では、中国語の次のような“AN型”の名詞述語文と“AA的N型”の名詞述語文を取り上げたい。

(1)她有苗条而矫健的身体,带着风尘色的、透露着青春红润的,线条爽利的
     椭圆脸孔,大眼睛,长睫毛,眉宇间带着一股勃勃的英气。
(2)认识潘平的人都知道,潘平是个容貌超众的姑娘,高高的个子,窈窕的身材,
     大大的眼睛,开朗的性格,非常讨人喜欢。

 (1)のタイプも(2)のタイプも、いわゆる「属性叙述文」である。そして、(2)のタイプは同時に、アリサマを「生き生きと描写」している。ある先行研究は、この種の「描写性」をもって、(2)のタイプを「属性叙述文」から外しているが、属性を「時間的限定性なし」と規定するならば、(2)のタイプは依然として「属性叙述文」である。

 アリサマが顕在化している「属性叙述文」は日本語にも存在する。

(3)「あら、おばあさん、なんて大きなおめめ。」
     「おまえのいるのが、よくみえるようにさ。」

 「属性叙述文」と「事象叙述文」は連続性を有していて、(1)のタイプは典型的な「属性叙述文」、(2)(3)のタイプは「事象叙述文」寄りの「属性叙述文」として位置づけられる。

 

日中対照言語学会2017年6月例会のお知らせ

日時
2017年6月17日(土)17:00~19:00
場所
東洋大学8号館中第2会議室(8号館中2階)
(8号館の正面の入り口から入って左へ歩き、1階のお手洗いのある所の前を通り過ぎて、階段を上っていけば第2会議室)
ヒト
王学群(東洋大学)
テーマ
日本語の「のだ」文と中国語の“是······的”文との対照研究

要旨

 奥田靖雄(2001:175-202)は、「説明(その4)―話しあいのなかでの『のだ』―」(『ことばの科学10』むぎ書房)で、具体的な場面の中で使用される、「のだ」を伴う説明の文の「場面的な意味」に注目してその意味用法を明らかにしている。奥田(2001)の「のだ」文の各用法に挙げている例文を中国語に訳してみると、当然なことながら、中国語の“是······的”文に訳せる場合もあれば、“是”だけが可能な場合もある。また、いずれも訳せない場合も多数ある。

 対照の立場から、発話時点より以前に実現した動作行為であれば、対応関係がみられると思われがちであるが、実際は、それでも対応関係がみられない場合が多くある。また、中国語の“是······的”文は日本語の「のだ」文と同様に、過去の場合だけでなく、現在、未来、または恒常的な場合にも使われる。このような場合の互いの対応関係も本発表の検討対象にしたい。

 本発表では、上述した幾つかの面から奥田(2001)の「のだ」文の各意味用法の例文を検討し、中国語の“是······的”などとの対応関係を解明してみたい。

 

2017年4月月例会のお知らせ

日時
2017年4月22日(土)17:00~19:00
場所
東洋大学2号館9階・経済学部会議室
ヒト
続三義(東洋大学)
テーマ
日中翻訳――『天声人語』(1992.1.27)の中国語訳を例に

要旨

 朝日新聞の『天声人語』は日本語学習者には人気がある。中国語版もできている。しかし中国語訳には少し問題がある。この文では、『天声人語』(1992.1.27)を例に、まず文脈から主語の問題を分析し、それから、一部の語彙の意味を分析し、その後、言語の意味のポテンシャル性・リアル性、そして、個別性・一般性の問題について論究する主語の問題に関しては、たとえば、「授業が始まると、好きなところに集まるようにと先生が言う。驚いた。」の中国語訳 “上课开始时,老师说你(指日本学生)喜欢什么运动就到什么地方集合。他吃了一惊。” における“你”と“他”、「慣れたら楽しくなった」と“(日本学生)习惯了之后,觉得很有趣”の中の“(日本学生)”の問題などについて分析を加える。語彙の問題に関しては、「楽しくなった」と“觉得很有趣”、 「相談した」と“征求意见”、「何にでも挑戦できる」と“可以迎接任何挑战”、「一生やれそうな」と“一生中喜欢的”、 「画一的」と“一成不变”などを扱う。そして、ポテンシャル性・リアル性、個別性・一般性の問題に関しては、「知り合えた」と“能认识”、「覚えました」と“可以学到”、「不得手なものがあってよい」と“不擅长没关系”、「バーレーンでの着衣のままの水泳練習」と“在巴林,练习游泳都是穿着衣服”などを分析する。

 

過年度実施分


Last-modified: 2017-10-16 (月) 10:15:00