3月月例会のお知らせ

日時
2016年3月19日(土)18:00~20:00(予定)
場所
大東文化会館k-403(東武東上線東武練馬駅より徒歩4分)
ヒト
高橋弥守彦(大東文化大学)
テーマ
使役表現における中日両言語の視点について

要旨

 本発表は現実の世界と言葉の世界との関係を明らかにし、下記の文に見られるような一つの現実に対する視点の違いによる文の体系を明らかにしている。

(1)太郎が次郎を褒めた。(他動詞の能動態、能動文)
(2)次郎が太郎に褒められた。(他動詞の受動態、受身文)
(3)母親が太郎に次郎を褒めさせた。(他動詞の使役態、使役文)
(4)太郎が母親に次郎を褒めさせられた。(他動詞の使役受動態、使役受動文)

 本発表は文の体系のなかの中日両言語の使役表現に焦点をあて、連語論の観点から使役表現の核となるのは「使役のむすびつき」としている。また、文中に見られる主体の意思の有無により、中国語の使役表現を3用法(はたらきかけ、許可、影響)、日本語の使役文を6用法(はたらきかけ、許可、放任、影響、想定外、再帰表現)に分類し、基本用法は仕手主体の意思を表す「はたらきかけ」とし、各用法の関係も明らかにしている。

 言語事実の調査によれば、中国語では使役表現が多く、日本語では使役文が少ない。本発表は、使役表現の視座と視点に基づき、中日両言語に見られる使役表現の多寡の理由を明らかにしたものである。

 

2月月例会のお知らせ

日中対照言語学会員各位  

日中対照言語学会2月例会を下記の通り開催いたします。どなたでも自由にご参加いただけますので、お誘いあわせのうえ多数ご来場くださいますようお願い申し上げます。
(日中対照言語学会事務局)

日時
2016年2月27日(土)18:00-20:00
場所
大東文化会館k-401(東武東上線東武練馬駅より徒歩4分)
ヒト
椿 正美(中央大学兼任講師)
テーマ
「後方スコープ型」を構成する範囲副詞“也”の意味機能

概要

 現代中国語の範囲副詞“也”(「~も~」)は、初級段階の教材等では、スコープが前方に掛かると設定され、構文〔NP+“也”+VP〕に対し「~も~する」と訳出するよう指導されることが多い。但し、“也”は統語論的な位置は固定されているものの、意味論的には取り立てる対象の設定には柔軟性が含まれ、後方のVPに掛かる可能性も考慮する必要がある。

 “也”のスコープが掛かる位置は、複文の場合、前後フレーズの間に成立する関係の内容からの判断が可能であり、「後方スコープ型」複文ならば、吕叔湘1980が示した“主语相同,谓语不同”“主语,动词相同,宾语不同”“主语,动词相同,动词的附加成分不同”が当たる。しかし、この条件は、単文の場合には応用できないので、全体の文意を正確に解釈するためには、如何なる状況下でもスコープが掛かる位置を推定できる条件の把握が必要となる。

 本研究では、「前方スコープ型」「後方スコープ型」それぞれの用例を取り上げ、〔主部の状況〕〔述部の内容〕の特徴の違いについて分析した。その結果、「後方スコープ型」を構成する“也”が含まれた文には、①現場では主体が単独で存在し、行為や現象を示す要素が複数で存在する②主体が行為に表明する姿勢の傾向は能動的である、という特徴が含まれることが判明した。

 

1月月例会のお知らせ

日時
2016年1月23日(土)18:00~20:00(予定)
場所
大東文化会館k-301(東武東上線東武練馬駅より徒歩4分)
ヒト
小路口ゆみ(大東文化大学博士後期課程1年)
テーマ
『官話指南』における“把”構文について

要旨

 本発表では“把”構文の歴史的変遷を考察・分析するため、『官話指南』における“把”構文を考察してみた。

 『官話指南』は呉啓太、鄭永邦の共編により、黄裕壽、金國璞の校正を経て、楊龍太郎を出版人として出版された「中国語会話書」である。1881年(明治14年)に出版され、長年にわたり日本人および欧米人に使用されてきた中国語学習用の教科書である。この教科書には六つの版本があり、初版は1881年(明治14年)に出版され(六角恒廣編の『中国語教本類集成』には影印を掲載されている)、1882年に上海美華書館により出版された。その後、1886年上海脩文活版館により再版され、1990年に上海美華書館により重刊され、同年福州美華書院により重刊された。さらに、1903年にはKelly & Walsh Limitedにより重刊された。

 本発表は1881年の初版に基づき、『官話指南』における“把”構文について、考察・分析してみた。本資料における“把”構文は261例あり、“将”構文は23例ある。“把”構文の構文構造は非常に豊かであり、副詞の位置も現代中国語のそれより緩やかであることが明らかになった。

 

11月月例会のお知らせ

時間
11月14日(土)18:00~20:00
場所
大東文化会館学生ラウンジ(受付のある階)

ヒトとテーマ

研究発表1

洪安瀾(大東文化大学博士後期課程)「存在文の語順について-“在字句”の構造との比較-」

研究発表2

神野智久(大東文化大学博士後期課程)「経験と複数の存現文の認知言語学的分析―複数の認知能力、そして構文的意味―」

file発表要旨2つ

 

10月月例会のお知らせ

研究発表者
小路口ゆみ(大東文化大学博士後期課程)
日時
10月17日(土)18:00~20:00
場所
大東文化会館K-302
テーマと概要
《語言自邇集》初版における“把”構文の一考察

file発表要旨

 

9月月例会のお知らせ

日時
2015年9月26日(土)18:00~20:00
会場
大東文化会館k-402(東武東上線東武練馬駅下車徒歩4分)
発表者
洪安瀾(大東文化大学 博士後期課程)
テーマ
「発見」を表す存在表現

要旨

 文は普通「旧情報」から「新情報」へと展開する。「旧情報」は話し手と聞き手両方が共有している「既知」の情報である。そして「新情報」は、聞き手にとって「未知」な情報であるが、話し手にとっては「未知」なのか「既知」なのかは、場合によって異なる。こういった区別は会話文にのみ存在している。例えば以下のとおりである。

(1) 候车室里有电脑,你可以过去上网查查看。(木村英樹2011:115)
    駅の待合室にパソコンがあるから、ネットで調べて来るといい。(同上)
(2) a.候车室里摆着/了/φ一台电脑。(作例)
    b.候车室里摆着/了/φ 电脑(作例)
(3) a.啊,候车室里有 电脑。(作例)
    b.啊,候车室里有一台电脑。(作例)

 例(1)が単純存在文で、“电脑”が話し手にとって、すでに把握している情報である。例(2)(3)を例(1)のように訳すことはできるが、意味が若干異なる。例(2)の述部では“摆着/了/φ(光杆动词)”を用いる静態存在文である。数量詞の有無にかかわらず、“电脑”は「既知」にしか理解できない。例(3)は例(1)の後半の分文を外してできた単純存在文である。ここの“电脑”は「既知」と「未知」の二通りに解釈できると考えられる。「未知」として理解する場合(3)aにある“电脑”が探しているモノと解釈されやすい。それに対して、例(3)bにある“一台电脑”は単なる新たに気づいたモノに過ぎない。この三例から、述部の種類と数量詞が「既知」か「未知」かについて区別する要素であることが分かる。

 「未知」を意味する存在文(存在構造)に、「既知」か「未知」かについて区別する要素はほかにも幾つある。「未知」の「新情報」をどのように文に反映するかを本稿の課題とする。

 

Last-modified: 2017-01-15 (日) 15:16:31