2017年3月月例会のお知らせ

日時
2017年3月18日(土)17:00~19:00
場所
大東文化会館K-401(東武東上線東武練馬駅より徒歩4分)
ヒト
王燕(北京語言大学)
テーマ
「の」格名詞句が述語である名詞述語文について

要旨

 本稿は、言語習得の立場から、「の」格名詞句そのものの意味関係に留まらず、述語として使われている際の構文的機能に焦点をあて、中国語との対照をしながら、日本語ならではの名詞述語文の振る舞いを考察したものである。「の」格名詞句は、通常「NP1のNP2」の形で示されているもので、「NP1」と「NP2」の二つの名詞が連体修飾を表す格助詞「の」を挟んでできた名詞句のことである。「の」によって結ばれる二つの名詞の意味関係はさまざまであるが、それは「の」の意味の多義性によるものではなく、あくまでも二つの名詞の意味の相関関係によるものである。「の」格名詞句の意味関係の記述をめぐって、いままで、より明示的な基準を示そうと、様々な分類がなされてきた。しかし、名詞句レベルの考察は名詞述語文という構文での名詞句の意味役割の解明にはなかなか繋がらない。というのは、名詞句レベルで見ると、しばしば意味の曖昧なものでも、述語に使われると、はっきりとその意味が決まってくるからである。

 

2017年2月月例会のお知らせ

日時
2017年2月18日(土)17:00~19:00
場所
大東文化会館K-403(東武東上線東武練馬駅より徒歩4分)
発表者
王学群
テーマ
“(S)V了O”文が成立する条件について

要旨

 “(S)V了O”文が成立するかどうかについては、先行研究によってかなり明らかにされていると思われる。それに対して、なぜ成立しにくいのか、なぜ文脈などの支えが必要なのかについては、まだそれほど解明されていない。筆者は、“(S)V了O”の構文的な特徴や文としての自足性や出来事の具体化(例化)や時間構造などの側面から探ってみたい。本稿でも先行研究と同様に一定の条件があれば“(S)V了O”という骨組みだけでも成立すると認める。その成立条件は“(S)V了O”文の自足性に深く左右され、自足性が高ければ高いほど外的な条件を必要とする割合が低くなり、反対に高くなるとみる。また、“(S)V了O”という骨組成分だけで成立しにくいのは出来事の個別化が不十分であることと外的な時間軸上に時間的な位置関係を明確していないことに帰すると考える。なお、それ以の要因も指摘する(たとえば、語用的な要因とテキスト的な要因)。

 

2017年1月月例会のお知らせ

日時
2017年1月21日(土)17:00~19:00
場所
大東文化会館k-403(東武東上線東武練馬駅より徒歩4分)
ヒト
高橋弥守彦(大東文化大学)
テーマ
位置移動の動詞“下”と客体とで作る構文について

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2016年12月月例会のお知らせ

日時
2016年12月3日(土)17:00~19:00
場所
大東文化会館K-404

研究発表

ヒト
劉 傑(広島大学・博士後期課程3年)
テーマ
程度副詞「もっと」と“更”に関する日中対照研究
―願望表現との共起問題を中心に―

要旨

 日本語の「もっと」と中国語の“更”は、いずれも程度の比較にかかわる程度副詞であり、意味もよく似ており、いずれも願望表現と共起することができる。いわゆる願望表現とは、日本語の「たい」、中国語の“想”を指すものであり、これらは動詞と結びつき、話し手の願望を表す助動詞である。

 しかし、いずれも願望表現と共起するとはいえ、日本語の「もっと」と中国語の“更”は、その修飾範囲が一様ではない。

(1)特别当有病的时候,他就更想喝粥。 《作家文摘》
(2)有的女人就拼命地去整容,天生美丽的女人还想变得更美。 《老子智慧与女性美》
(3)陆小凤本来就想去的,现在更想去了。 《陆小凤传奇》
(4)本当はもっと食べたかったが、用心して一口でがまんした。『ナガランドを探しに』
(5)もともと食べたいと思っていたが、今はもっと食べたくなった。(作例)
(6)もっと理解を深めたい人に。 『入門人的資源管理』
(7)それによってお客様も「気持ちいい」「また来たい」「もっと美しくなりたい」と思い
    お店にまた来てくださるのです。『めざせ!健康美容師』

 本発表では、程度修飾の範囲という観点から、程度副詞が願望表現と共起する際の日中の共通点と相違点を考察する。

 

2016年10月月例会のお知らせ

日時
2016年10月15日(土)17:00~19:00
場所
大東文化会館K-403

研究発表

ヒト
小路口ゆみ(大東文化大学・博士後期課程2年)
テーマ
“把”構文における可能表現の否定について        

要旨

 現代中国語の可能表現では、「能願動詞による可能」と「補語による可能」に大きく二分され、能願動詞による可能は数多く存在する。例えば“能、能够、会、可以、可能”等がある。本稿では、可能能願動詞の代表とされている“能”のみについて考察する。もちろん、この不可能の表現も「能願動詞による不可能」(“不能V”)と「補語による不可能」(“V不C/D”)に二分されている。

(1)我能吃完这碗饭。  (作例)
   私はこのご飯を食べ終えることができる。(筆者訳)
(2)我吃得完这碗饭。 (作例)
   私はこのご飯を食べられる。(筆者訳)

 例(1)と例(2)の否定文は例(3)である。

(3)我吃不完这碗饭。(作例)
   私はこのご飯を食べられない。(筆者訳)

 しかし、“把”構文では

(4)我能把这碗饭吃完。(作例)
   私はこのご飯を食べられる。(筆者訳) 
(5)我不能把这碗饭吃完。(作例)
   私はこのご飯を食べられない。(筆者訳)
(6)*我把这碗饭吃不完。

 例(4)の否定文は例(5)しかない。“把”構文では不可能の表現は「能願動詞による」表現しかないことについて、連語論の観点から考察・分析する。

 

2016年9月月例会のお知らせ

日時
2016年9月17日(土)17:00~19:00
場所
大東文化大学板橋校舎1号館5階1-0517教室(パソコン室の隣り)

研究発表

ヒト
神野智久(大東文化大学・博士後期課程)
テーマ
事態生起の順序から見た中国語の移動表現の類型について
要旨
本発表は、中国語の動補構造「動詞+(複合)補語構造」に見られる事態生起の順序と語順の関係について考察する。中国語は、原則として「旧情報→新情報」の順、つまり事態の成立順序に沿って語順を組み立てる。しかし、実際には“摆上去(上に並べる)”のように付随要素で表す事態と移動の語順が、自他異の成立順序と逆行している例が少なからず存在する。そこで、本発表では認知文法の観点からこの問題を分析する。
 

2016年7月月例会のお知らせ

日時
2016年7月30日(土)17:00~19:00(時間変更あり)
場所
東洋大学1号館6F1605教室(8号館1階の左側で4Fまでエレベーターに乗り、降りてから左側の通路を通り抜いていけば1号館3F)
交通
三田線白山駅5分、南北線本駒込駅5分(詳細はfile地図参照)

発表1

ひと
郭蓉菲(上海外国語大学大学院)
テーマ
日中における「一量(名)+否定」構造に関する考察
要旨
日中両語にも「一量(名)+否定」がある。中国語において、一つの文型として取り扱われるのに対し、日本語には、定まった文型として認められるかどうかは別として、ある定着した構造として、よく出てくるのが事実である。
形式上からみれば、日本語の「一量(名)+否定」構造が中国語の「一量(名)+否定」文型と並行していることは否定できない。しかも、両者は同じように、最小値評価という語用機能を持っている。といっても、両者の強調の強さが異なる。それに、意味上からみれば、両者とも全面否定及び部分否定が表せるが、その意味を影響する要素が異なる。従って、本稿では、まず、日中両語における「一量(名)+否定」の語用機能を比較し、次に、両者が表している意味はそれぞれどんな要素によって影響されるかを明らかにしようとする。

発表2

ひと
孫艶華 
テーマ
中国法令条文の翻訳について —「中華人民共和国専利法(第三次改正)」を例として
要旨
本稿では「中華人民共和国専利法(第三次改正)」に関する4つの日本語訳を比較し、中国の法令条文を翻訳する際の注意点と効果的な翻訳のための提言をまとめた。分析の結果、いくつかの問題点が明らかになったが、紙幅の都合により本稿では「原文に対する誤読」と「法令条文における常用語の翻訳」という二つのカテゴリーについて、翻訳の問題点を明らかにする。「原文に対する誤読」については、言葉の意味、文法関係などの視点から11の例を挙げ分析する。「法令条文における常用語の翻訳」については、似通った意味を持つ訳語の使い分けに重点を置き、言葉の意味やニュアンス、言葉の組み合わせ、修飾関係、中国語特有の表現という点から考察を行う。
 

2016年6月月例会のお知らせ

日時
2016年6月25日(土)17:00~19:00(時間変更あり)
場所
東洋大学8号館第2会議室(8号館中2階:8号館1階に着いたら左へ洗面室の横(看板あり)を通り抜いて上っていけば第2会議室)
交通
三田線白山駅5分、南北線本駒込駅5分(詳細はfile地図参照)
ヒト
白石裕一(中央大学兼任講師)
テーマ
《尋找亜洲原理》の中日対照研究――四字漢語、方位詞“上”に限定して――

要旨

 《尋找亜洲原理》孫歌著・白石訳(現代中国に関する論文集の一篇として出版予定)をもとに、四字漢語、方位詞“上”の問題について発表する。

 中国語にしても日本語にしても「2文字+2文字」の四字漢語の意味構造は実に多彩である。しかし、中国語の、前項と後項がそれぞれ名詞性で、意味関係が「並列」である四字漢語は、日本語に翻訳する際、「~・~」「~、~」「~と~」「~や~」のように訳さなければならないことが分かった。日本語は「並列」を表す「2文字+2文字」の四字漢語(あいだに何も挟まない)が極めて少ない。

 方位詞“上”が「(の)上」とあまり訳されないことはすでに指摘されていることではあるが、抽象名詞がよく使われる哲学的・思想的論文においては、そのことがより顕著であることが分かった。また、上記資料に限定してのことではあるが、“名詞+上”のほとんどが、前置詞“在”の目的語になっていて、“在”の目的語になっていないのは、“基本上”、“事实上”のみであることも分かった。さらに、“名詞+上”が「叙述・描写の範囲を限定する」機能を有していることも分かった。

2016年4月月例会のお知らせ

日時
2016年4月23日(土)17:00~19:00(時間変更あり)
場所
東洋大学第1会議室(東洋大学2号館3階講師控室の隣)
交通
三田線白山駅5分、南北線本駒込駅5分(詳しいことはfile地図の参照をお願い致します。)
ヒト
続三義(東洋大学)
テーマ
日汉翻译——以『天声人語』(1992.1.27)为例
要旨
日中翻訳において、多くの問題がある。本文では、1992年1月27日の「天声人語」の中国語訳を例に、日中翻訳における問題を探る。 1、日中翻訳に於ける主語の把握の仕方について述べる。特に、日中翻訳において、字面に現れない主語をどう補うか、原文に主語がある際、その主語は有定か無定かなどの問題を解析する。2、日中翻訳における語彙の意味の把握の仕方、中でも、「ところ変われば、品変わる」/“地迁物变”、「楽しくなった」“觉得很有趣”/、「相談する」/“征求意见”、「何にでも挑戦できる」/“可以迎接任何挑战”、「一生やれそうな」/“一生中喜欢的”、「画一的」/“一成不变”などを取り上げ、それらの中国語訳はより深く吟味すべきことを述べる。さらに、3、「様々な人々と知り合えた」/“能认识很多人”、「社会でのつきあいの仕方に即している」/“为了适应社交”を例に挙げ、言語表現におけるポテンシャル性とリアリティ性から、日中翻訳の問題点を述べる。
 

Last-modified: 2017-07-11 (火) 12:16:30